ROLAND
TR-909

当時の価格 150,000円
中古の相場 16万円
発売年 1981-1984
発音ボイス数
MIDI / CV DIN
レア度 ★★★
ビギナー向き ★★★

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 TR-909は80年代のハウス・ムーブメントが登場するまで、まったく見向きもされていなかった機種でした。TR-808の音がサンプリング技術の発達にともなって「陳腐なもの」という烙印をおされてしまってからというもの、909は808の中でも本物の迫力に欠けていた(当時は欠点とされていた)カナモノ系、つまりハイハットとシンバルをサンプリングに変え、他のパートの音色もよりアグレッシブなものにした、TR-808の改良版とでもいうべき位置づけで登場しました。
ところが世の中はすでに安価なフルサンプリングのドラムマシーンが登場し、中途半端にアナログとデジタルを組み合わせたTR-909は、いわば「折衷案」とみなされていたのも事実です。
この製品のすばらしさを再発見したのはアシッドハウスのトラックメーカーたちでしたが、それまでは二束三文で売られていた製品でした。今では中古市場に出ても15万円近くします。一時期の熱はさめましたが、まだまだ人気の高い製品です。

 TR-808やTR-909の音は今やサンプラーには当たり前のように入っているため、わざわざ本物を手に入れようとしている人を「物好き」と考える方もいるかもしれませんが、本物の音を聴けばサンプリングとはまったく違うということに誰でも気づかれると思います。
 通常、サンプリングされた音というものは、いわゆるコンプレッサーなどの「処理」をほどこされた「既製品」であることが殆どです。本物は当然コンプレッサーも何も入っていない裸の音なので、みずみずしくレンジの広い音に感じます。これはライブで使うと断然違いが出ます。
 逆に言えばレコーディングではコンプレッサーなどの使えない方はサンプラーに入っている音のほうがしっくりくることもあるかもしれません。