ROLAND
JUNO-106

当時の価格
中古の相場 3~6万円前後
発売年 1984
発音ボイス数 6
MIDI / CV MIDI
レア度
ビギナー向き ★★★★★

拡大写真 125KB

info(at)proun.net

 いわゆるテクノ系クリエイターに人気の高いアナログのポリフォニックシンセサイザーです。ORBのアレックス・パターソンがこの106を絶賛して以来、人気が衰えないモデルですが、比較的量産された機種ですので入手しやすく、中古価格も手頃です。
 発売当時はいわゆる手頃な入門機という位置づけで、音作りも単純なことしかできませんでしたので音自体が評価されることはありませんでしたが、今の耳で聞くと 粘りのある音はローランド特有であり、MIDIも付いていることから扱いやすいシンセといえます。ポリフォニック・タイプのシンセの中では珍しいくらいこれでもかというくらい太い低音を出すのが特徴ですが、モジュレーション系がわりと普通なため、複雑な音は苦手です。ただその出音の良さ、これは特筆に値します。
  もちろんマルチティンバーなどではありませんので、違う音色を1台から同時に出すことはできません。また作った音を記憶させておくことはできます。
 オシレーターはデジタルで制御されたDCOタイプで、ピッチは今でも非常に安定しています。チューニングは一度やってしまえば基本やらなくて大丈夫です。フィルターは通常のレゾナンス付きローパスに加え、4段階制御のハイパスが付いています。ローランドのフィルターは比較的安価な機種でも安っぽくないと感じるものが多いのですが、この機種もあのローランド特有の粘りがあります。ただオシレーターは1プラス・サブオシレーターという構成なので、ストレートでシンプル。でもパッド系の音なども結構いいし、アナログっぽさも十分感じ取れます。
 コーラスも内蔵されていますが、なにかにつけてこれをONにしたくなるほど、このコーラスがよくできています。これがJUNOのサウンドのキモだったりもします。
  エンベロープはADSRが1つと、若干ものたりなさを感じますが、初心者でもわかりやすく使いやすいシンセサイザーだとはいえると思います。
 あとモノフォニックにするモードは表向きはないのですが、POLY1とPOLY2のスイッチを同時押しすることでユニゾンモードに入り6つのオシレーターが一度に同じ音程で発音するようになります。

 トータル的な評価で言うと、値段の安さからしてもいいシンセだと思います。アメリカでは既に価格が高騰していますので、今後国内でも評価価値は上がってくると思います。
 作れる音の種類はあまり多くないのですが、Juno-6, Juno-60系よりももっとパキっとしたキレのいいサウンドはちょっとデジタルとも違う味があります。

 ただこの機種は典型的な故障の症状があります。使用されている現在では入手困難なカスタムチップが経年変化によって壊れてしまうことがあるのです。それはフィルターに関係したパーツですが、壊れると「プツプツ」と断続的にクリックノイズが乗ってきます。そうなるとチップを換えるしか修理ができません。ボイス毎にチップがあり、6枚基板に入っていますが、そのうちの何個が壊れているかを調べるテストモードが裏に存在しています。あえて書きませんが、そういう症状が出てきたときにはググってみてください。
 チップ自体はメーカーが販売もしていませんので、海外の販売店から中古パーツを買うか、クローンチップを手に入れるか、専門の修理業者に丸投げするか、です。 クローンチップを作っている人が海外にはいますが、6枚セット売りしかたいていなく、2万以上はするので、もしかしたらヤフオクで完動品を買った方が早いということもありえますが、現在のクローンチップはオリジナルよりも高性能なのだそうです。ヤフオクでジャンク品を買って部品取りをする人もいるようです。そのチップはJUNO-106以外にも使われていて、そういう機種を調べてゲットする…そこまで自分でできる人はここの記事を読んでもまったく得られる情報はないとは思いますが。

 とにかくリスクは十分に考えて購入するべきです。ネットオークションは特にこの問題が発生します。