先日のHMV渋谷閉店劇はテレビのニュースでも大々的に取り上げられていましたね。なんでもニュースによると「渋谷系」の元祖はHMV渋谷が発祥だとのことですが、これについてはネットでも反論があがってます。リアルタイムに渋谷系時代に渋谷をうろうろしていた(そして渋谷系をまったくまじめに聴いていなかった)僕に言わせても、それはちょっと違うんでないかと思ったわけです。

HMV渋谷ができる前から渋谷系はあった、というのが古参の音楽ファンの共通の歴史認識ではないでしょうか? 各地で指摘されている通り、渋谷系はHMV渋谷以前に渋谷にあったWAVEやZESTなどのレコードショップのしかけがまずあって始まったムーブメントだった、多くの人はそう考えています。
当時はUKの音楽が盛んで、いわゆるマンチェスター系のバンドがクラブミュージックの要素を取り入れたシャレオツな音楽を展開していた影響と、ネオアコ、あるいはニューウェーブから一歩出遅れた日本の反応が渋谷系を生み出していったのです。この動きは驚くべきことに現在のレゲエ/ヒップホップなんかよりマジョリティでした。
当時の僕は今以上にノイジーな音楽ばかりを聴いていて、UKダブやインダストリアルにハマっていた時期でした。ZESTも渋谷系時代以前の80年代はノイズの専門店みたいな店で、ある時SPKやNurse With Woundのレコードでも買いにいこうかと思って店に行ったらキャンディ・フリップとかかかって様変わりしていてびっくりしたものです(半分くらい作り話)。もう10年以上は余裕で寄り付いてないですが。
WAVEは当時六本木を中心に大々的に店舗を展開していて、自身のレーベル(WAVEレーベル)まで持っていたのですが、話はそれますけどこのレーベルがまさに当時の僕の聴いていた音楽をプッシュしていて、ド変態そのものでした。
80年代中盤には六本木WAVEのビルの側壁を覆い尽くすかのような巨大なThe Residents(写真)の垂れ幕をぶら下げ、巨大な目玉オヤジがステッキにシルクハットとタキシードという出で立ちで六本木の夜を飲み歩くスノッブなOLさんを見下ろしていました。なんて衝撃的なギロッポンだったでしょう!
これ、渋谷系とはまったく関係ありませんが、レコード屋さんが今よりもっと文化的な香りがしていた時代の出来事ですよ。
そしてニューウェーブといえばCSV渋谷の存在は忘れてはなりません。CSV渋谷はHMV渋谷ができる以前に現在のCCレモンホールとパルコの交差点の間にあったレコードショップで、たしか2Fは楽器屋さんとスタジオがありました。品揃えは基本パンク/ニューウェーブばかりで輸入盤がメイン。店内には小さなステージがあって、The Adictsがインストアライブとサイン会とかやってましたよ。レジには誰かが行って撮ってきたJoy Divisionのイアン・カーティスの墓の写真が飾ってあったなあ。
比較的短命な店でしたが、それもそのはず、これはダイエーが資本を出していた店だったのです。その割にはやりたい放題だったんですね。そりゃなくなります。WAVE同様果たした役割は大きかったです。大好きな店でした。
話は戻ってHMV渋谷。前日の21日にはHMV渋谷の2Fで9dwのインストアライブがあり、思いのほかたくさんのギャラリーが集まってくれてメンバーともども喜んでおりました。お越し下さった方々、ありがとうございました。
ますます渋谷へ行く機会が減ってきている昨今ですが、HMV渋谷のスタッフの皆さんの行方が気になります。
