巷ではあることないこと、いろいろ書かれているモニター・ケーブルですが、実際にいろはスタジオでいろいろ試聴した結果をご紹介したいと思います。ちゃんとした環境で比較していますので、それなりに客観性/説得力はあると思います。
 モニターケーブルはどれ一つとして同じ音がしません。ケーブルによってまるで違うんですが、リファレンスケーブルがそんなに違っていいのかと思ってしまいますよね。ごもっともです。しかし実際には完全にフラットなケーブルなんて1本ありませんでした。それでもいい、悪いはあるわけです。やはりケーブル選びは適当ではだめ、というのが結論です。スピーカーによって合う合わないがあると思います。そのへん、ここで書くことが何かの参考になればと思います。

Mogami 2549

 モガミのケーブルは比較的どれもフラットで好みですが、みなさんは4芯構造の2534をよく使われるみたいですね。僕にとって2534は音はいいのですが若干おとなしい感じがする印象があるので2549のほうが好みです。
 2549はモニターケーブルとして使うにはいささか地味な印象がありますが、いいケーブルだと思います。ガツンとくる派手さがありませんが、ピーキーな環境ではいい結果が出るかも。なにしろ値段が安いです。

Belden 1192A

 国産のケーブルに近いフラットな印象。スピード感があってちゃんとスピーカーを鳴らしてくれます。低域があばれず、中域の表現力がすばらしいです。ただ高域はやや地味。だから全体的には中域に密度が集まっているようなかんじがあります。打楽器のアタック感がちゃんと見えて、ボーカルのニュアンスが見えやすいですね。長く聴いても疲れませんが、全体的には面白くない音。でもミックスがしやすそうな音ですね。慣れてくるといいかも。ローがぼやけがちな環境ではいい結果がでると思います。高いポテンシャルを持っていてすすめられるけどベストといえるかどうかは微妙。でもFostex NF1Aでは中域のちょっと引っ込むスピーカーのクセを補完してくれました。

Belden 8412

 低域にクセがあるとかないとか、このケーブルは歴史が長いゆえにいろいろ言われていますが、どんな用途に使っても結構いいケーブルだと思います。たしかに8412のハデな方向へ転んでいくクセがあるのですが、それがむしろかっこいい。かっこよく音を聴かせてくれるから気持ちいいですね。中域のトランジェント感はやや抑えられてドンシャリ傾向はあります。低域はこのケーブルがベース用として使われることがあるのがよくわかるくらい、いい感じに出ます。1192Aのほうがモニターに向いているという意見をどこかで聴きましたが、一概にそうも言えないなというのが今回の試聴でわかりました。

Belden 88760

 真っ赤で心配になるくらい細いケーブルですが、実は8412の改良版といわれています。でもケーブルの構造はかなり8412と違います。8412より高いし。とはいえ音は実は意外と8412的です。それをもっとヌケをよくした感じ。広域が美しくてシンバルなどがいきいきと聞こえ、中高域の密度が高くていい音ですが、8412と比べると少しだけ派手かも。ローもしっかり出ますが、タイトにまとめあげる感じで、8412のように低域のうち放たれた開放感はさほどありません。モニター用として十分検討に値するケーブルですよ。

また機会があれば他のケーブルについても書きたいと思います。では。

渋谷系

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 先日のHMV渋谷閉店劇はテレビのニュースでも大々的に取り上げられていましたね。なんでもニュースによると「渋谷系」の元祖はHMV渋谷が発祥だとのことですが、これについてはネットでも反論があがってます。リアルタイムに渋谷系時代に渋谷をうろうろしていた(そして渋谷系をまったくまじめに聴いていなかった)僕に言わせても、それはちょっと違うんでないかと思ったわけです。
 HMV渋谷ができる前から渋谷系はあった、というのが古参の音楽ファンの共通の歴史認識ではないでしょうか? 各地で指摘されている通り、渋谷系はHMV渋谷以前に渋谷にあったWAVEやZESTなどのレコードショップのしかけがまずあって始まったムーブメントだった、多くの人はそう考えています。
 当時はUKの音楽が盛んで、いわゆるマンチェスター系のバンドがクラブミュージックの要素を取り入れたシャレオツな音楽を展開していた影響と、ネオアコ、あるいはニューウェーブから一歩出遅れた日本の反応が渋谷系を生み出していったのです。この動きは驚くべきことに現在のレゲエ/ヒップホップなんかよりマジョリティでした。
 当時の僕は今以上にノイジーな音楽ばかりを聴いていて、UKダブやインダストリアルにハマっていた時期でした。ZESTも渋谷系時代以前の80年代はノイズの専門店みたいな店で、ある時SPKNurse With Woundのレコードでも買いにいこうかと思って店に行ったらキャンディ・フリップとかかかって様変わりしていてびっくりしたものです(半分くらい作り話)。もう10年以上は余裕で寄り付いてないですが。
 WAVEは当時六本木を中心に大々的に店舗を展開していて、自身のレーベル(WAVEレーベル)まで持っていたのですが、話はそれますけどこのレーベルがまさに当時の僕の聴いていた音楽をプッシュしていて、ド変態そのものでした。
The Residents
 80年代中盤には六本木WAVEのビルの側壁を覆い尽くすかのような巨大なThe Residents(写真)の垂れ幕をぶら下げ、巨大な目玉オヤジがステッキにシルクハットとタキシードという出で立ちで六本木の夜を飲み歩くスノッブなOLさんを見下ろしていました。なんて衝撃的なギロッポンだったでしょう!
 これ、渋谷系とはまったく関係ありませんが、レコード屋さんが今よりもっと文化的な香りがしていた時代の出来事ですよ。
 そしてニューウェーブといえばCSV渋谷の存在は忘れてはなりません。CSV渋谷はHMV渋谷ができる以前に現在のCCレモンホールとパルコの交差点の間にあったレコードショップで、たしか2Fは楽器屋さんとスタジオがありました。品揃えは基本パンク/ニューウェーブばかりで輸入盤がメイン。店内には小さなステージがあって、The Adictsがインストアライブとサイン会とかやってましたよ。レジには誰かが行って撮ってきたJoy Divisionのイアン・カーティスの墓の写真が飾ってあったなあ。
イアン・カーティスの墓
比較的短命な店でしたが、それもそのはず、これはダイエーが資本を出していた店だったのです。その割にはやりたい放題だったんですね。そりゃなくなります。WAVE同様果たした役割は大きかったです。大好きな店でした。
 話は戻ってHMV渋谷。前日の21日にはHMV渋谷の2Fで9dwのインストアライブがあり、思いのほかたくさんのギャラリーが集まってくれてメンバーともども喜んでおりました。お越し下さった方々、ありがとうございました。
 ますます渋谷へ行く機会が減ってきている昨今ですが、HMV渋谷のスタッフの皆さんの行方が気になります。

PPG (Palm Products GmbH) 社は1975年にウォルフガング・パーム氏がドイツのハンブルグに設立したシンセサイザーのメーカー。タンジェリン・ドリームのためにカスタムメイドのシンセサイザーを設計していた彼ですが、87年に倒産するまで、いくつかの革新的なシンセサイザーを発表したのですが、そんな彼が語るPPGの歴史がビデオで見られます。
まるで学者のような御大のお姿を拝んでください。

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